朝起き上がるのがツラく、一日中何もしたくない。どこにも行きたくない。これって、うつ?
PMS(月経前症候群)は月経開始の約1週間前から3日前になると現れる体や心の不調。体がダルい、肩こりなど身体的なものから、イライラや涙もろくなるなど精神的なものなどがあります。
中でも一番つらいのが、うつっぽくなるメンタルの症状ですよね。PMSの精神的症状とうつの症状は非常に似ていて混同されがちです。
PMSとうつ病の見極め!3つの大きな違い
PMSの精神的症状
- 抑うつ
- イライラ
- 不安
- 社会的引きこもり・・etc.,
うつと間違いやすいPMS。その違いを見極めるポイントは何でしょうか。
- 症状が出る期間
- 眠れるかどうか
- 食欲・性欲があるかどうか
PMSは生理前になると症状が現れ、生理が始まるとなくなるのが特徴です。
生理開始の遅くても3日目以降から排卵の時期までは症状が出ることはありません。うつ病の場合は月経周期に関係なく常に症状があります。
また、「生理前は眠くて仕方がない」という人は多いですよね。日中でも眠くなるのはPMSの症状のひとつですが、うつ病の場合は逆に眠れなくなってしまうのがポイント。
そしてうつ病になると食欲不振に陥ったり性的欲求がなくなります。PMSは食欲や性欲が普段にもまして強くなる傾向があります。
全ての人に当てはまるわけではありませんが、参考にしてみてください。
ホルモンの変動
女性の体には月経周期があり、二つの女性ホルモンが増減して排卵や月経を起こしています。排卵を境にそれまで優位だったエストロゲン(卵胞ホルモン)が減っていき、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増えていきます。
エストロゲンが減ると、それに伴い脳内伝達物質のセロトニンやβエンドルフィンも減少。セロトニンはハッピーホルモンと呼ばれ、幸福感を司るホルモンです。
また、セロトニンと連動しているGABAという神経伝達物質も関係しています。GABAにはリラックスや抗ストレスの働きがありますが、生理前に増えるプロゲステロンがこのGABAの働きを妨げるのも原因の一つ。精神的に不安定になってしまいます。
血糖値の低下
生理前に増えるプロゲステロンは、インスリンの働きも低下させます。インスリンとは、血糖値をコントロールするホルモンで、血糖値が高くなると分泌され正常に戻します。
生理前はインスリンがあまり効かなくなるために過剰分泌されてしまい、血糖値が下がり過ぎてしまいます。
血糖値はメンタルと深く結びついています。低血糖になると冷静な判断や感情のコントロールができなくなります。低血糖の状態が続くと、アドレナリンが分泌され緊張や興奮しやすくなります。
生理前はこの興奮物質がでやすくなり、イライラや攻撃的になりやすいんです。
鉄欠乏性貧血
女性は月に一度の月経で、およそ40mlの血液(鉄20μgに相当)を失います。特に生理前は子宮内膜を厚くするため、血液が子宮周辺に集まり脳へ十分な血液が回らなくなります。
鉄欠乏性貧血とは、血液中の鉄が不足している状態。ヘモグロビンには酸素を運ぶ役割がありますが、貧血とはこのヘモグロビンが不足している状態のことです。
鉄が不足すると、セロトニンや快楽の元になるドーパミン、やる気の元になるノルアドレナリンなどの神経伝達物質が作られなくなります。
やる気が出ない。何に対しても喜びが感じられない。といううつのような症状が出やすくなります。
鉄不足による精神症状はうつ病と混同しやすいんです。鉄欠乏性貧血があると、PMSや後述するPMDDになりやすくなります。
PMSのうつっぽい症状を改善する方法
PMSがあるのはちゃんと排卵している証拠。ある程度は自然のことと受け止めるしかないのですが、仕事や生活に支障が出るのは困りものですよね。PMSを改善する方法を見て行きましょう。
- ストレス対策
- 適度な運動(有酸素運動)
- バランスの取れた食事
- 記録をつける
ストレスが多いとPMSの症状が出やすくなります。女性ホルモン分泌の指令を出すのは脳の視床下部というい部分ですが、ここはストレスの影響を最も受けやすいところです。
今の社会で「ストレスを感じるな」というのは無理ですね。アロマテラピーや散歩など取り入れやすいものを始めたり、趣味に没頭してみてはいかがでしょうか。
定期的に有酸素運動(ジョギングやウォーキングなど)をしている女性はPMSの症状が軽いことが分かっています。
ジョギングやなわとびなど一定のリズムがあり、反復性のある運動は、セロトニンの分泌を促すのでうつっぽい症状に効果的です。
食生活の見直しはPMSにとても効果的です。積極的に摂りたい食品はこちらです。
- カルシウム(乳製品・小魚など)
- マグネシウム(アーモンドなどのナッツ類)
- 亜鉛(カキ・未精製の穀類)
- ビタミンB6(レバー・まぐろなど)
食事から摂るのが難しければサプリメントを利用するのもいいですね。PMSにおススメのサプリメントを紹介します。
ルナベリー/オーガニックレーベル
30粒入(約1ヶ月分)4400円(税込)
※定期コースは初回無料・2回目以降3960円
ルナベリーは昔から女性のためのハーブとしてPMSの治療にも使われてきたチェストベリーを高配合。
他にもPMSによいとされるγ-リノレイン酸やカルシウム・マグネシウム、ビタミンB群などが一度に摂れます。
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PMSサプリメントレビュー!ルナベリーを3ヶ月飲んでみた結果は?
PMSのうつっぽい症状を悪化させる食品もあるので注意が必要です。
- 精製された砂糖や穀類
- カフェイン
- ジャンクフード
なぜか生理前になると食べたくなるものばかりですよね。
白砂糖や精製された小麦粉は血糖値の上下が激しくなり、精神的に不安定になります。また、カフェインは精神的症状が出やすくなるもとです。
ジャンクフードに含まれた添加物は、亜鉛などのミネラルを大量に消費するので、ホルモンバランスが崩れやすくなります。
我慢するのもストレスになってしまうので、ほどほどに抑えるようにしてみましょう。
また、血糖値の変動が激しくならない食べ方を試してみましょう。1回の食事の量を減らし、回数を4、5回に増やしてみるのも効果的です。
食べ順も、野菜やお味噌汁から始め、お肉やお魚などのおかず、最後にごはんなどの炭水化物をもってくると血糖値の上下も緩やかに。
メニューもパスタやおにぎり、パンがメインなど炭水化物が多くなる献立は避けましょう。
最後に、PMSの症状の記録を取ることは有効です。特に基礎体温をつけるようにすると排卵や月経のタイミングがわかるだけでなく、PMSの時期も予測できるようになります。
うつっぽくなっても「PMSだからもう少しで終わる!」と思えば気が楽ですよね。「泣いた(>_<)」などカレンダーやスケジュール帳にメモ書きすると、次の生理周期の時に参考になります。スマホのアプリを活用すると便利です。「PMSのせいだから」と認識するのが改善への第一歩です。
PMSの治療法とは
低用量ピル
低用量ピルは体を妊娠に近い状態にしてPMSの症状を軽減させる働きがあります。女性ホルモンをコントロールし排卵そのものがなくなるので、PMSの症状もなくなるという仕組みです。
副作用や年齢・行動(喫煙など)制限があるので使用する前に納得するまで医師と話し合いましょう。
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ピルで本当にPMSが治る?2ヶ月半飲んでみた実体験レポート!
漢方薬
漢方薬は根気よく続ける必要がありますが、天然の生薬が原料なので副作用が比較的穏やかなのが特徴です。
身体的不調だけでなく精神的不調にも対応しています。PMSでよく使われるものに、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などがあります。
漢方は同じ病気でもその人の体質や症状によってそれぞれ処方が異なります。まずは専門医に相談してみましょう。
精神的症状が強い場合はPMDDかも?
PMDD(月経前不快気分障害)はPMSでも特に精神的症状が強い病気を言います。PMSのある女性の中でも5%の人はこのPMDDだと言われているので、PMSがある20人に1人はPMDDという計算になります。
PMDDはうつ病にとても似ていますが、PMDDはPMS同様、女性ホルモンの増減が原因です。症状も生理が始まると自然に治ります。
「これってそうかも?」と思ったら下のチェックリストを試してみてください。
- 激しいうつ状態、自己否定感、絶望感がある
- 死にたくなる、または自殺衝動に襲われる
- 気力がなくなる
- 激しい不安感がある
- 日常生活に支障をきたすほどの情緒不安定になる
- 怒りっぽくなる・攻撃的になる
- 異常な眠気に襲われる
- 性欲を抑えられない、もしくは性欲がなくなる
- 食欲が激しくなる
- 自分をコントロールするのが難しい
PMDDは新しい病気なので、一般的に周知されていません。社会生活を困難にしてしまうので、原因がわからず一人で悩んでいる人が多い病気です。
診察は婦人科の他心療内科や精神科で、治療にはSSRIやSNRなどの抗うつ剤や、抗不安薬などが使用されます。副作用は吐き気や胃のむかつきなどです。
PMDDは医療機関でも認識されていない所もあります。気になったら一度PMDDに対応している医療機関をチェックしてみましょう。
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PMDDかも?と思ったら~どうする?治療と仕事
まとめ
PMSのメンタルの不調はうつ病と非常に似ていますが、大きな違いは発症する期間と睡眠、そして性欲・食欲です。
鉄欠乏性貧血はPMS/PMDDになりやすく、症状もうつ病に似ています。また、精神症状が強いPMSはPMDDの可能性があります。
PMSもPMDDも生活習慣を見直し月経周期を把握することで緩和できます。症状が重い場合は治療も可能なので、医療機関に相談してみましょう。